あなたは、忘れ物が多くありませんか?また周囲の人に「変わってるね」「不思議ちゃん」「天然」「落ち着きがない」など言われたことがありませんか?
もしかしたらそれは"注意欠如多動性障害"かもしれません。
どんな疾患なの?
現在、病態の発症理由はまだ明らかになっていない。研究は進んでおり、脳内の神経伝達物質による何らかの影響、遺伝も発症理由に大きく関わっているのではないかと言われている。脳の機能的な障害が原因となり発達や成熟に影響し偏りが生まれADHDの症状が出るのでは?!と推測されている。
よく「親のしつけの悪さ」が原因か!?と言われることがあるがそれは違います。
今現在、明らかになっている発症要因としては遺伝的要因、脳内の神経伝達物質のバランス機能異常常、環境要因などが複雑に関与していると考えられている。なおADHDは、親族の中にいると発症する割合が高いとされている。その為遺伝的関与はあると言われ、ADHDと診断された姉妹がいる場合、発症する割合は一般に比べて5〜7倍高く、親がADHDであると子どもの発症率は約50%と報告がある。このようにADHDは親のしつけのせいではない。子供のADHDで自分のしつけが悪いのかと悩んでいる親は安心してください。
症状
ADHDが世間一般的に浸透しピックアップされ出したのは最近のこと。意外と気がついてない大人のADHDの患者が多いんです。
あなたも当てはまる症状がないかチェックしてみてください。
不注意
(例)
・細かい事に注意が向かず、仕事や家事が中途半端で最後までやり遂げれない。
・会話や長文などを読むことに集中し続けることが困難だ。
・連続した仕事をやり遂げることが困難で、整理や時間管理が苦手である。
・外からの刺激で気が散り、無関係な考えが浮かびやすい。
・大事な物、予定、約束を忘れてしまう。
・期限が守れない。
・何でも先延ばしにしてしまう。
・忘れ物や紛失が多い
人の脳は、外界から入る膨大な量の情報から必要なものだけを選び思考活動を行う「フィルター機能」がある。例えば、騒がしいカフェで友人と勉強会をしていても正常な脳は、まわりの雑音が大きくても、フィルター機能が働き相手の話だけを聞き分けその他の雑音は無意識のうちに選択しシャットアウトすることができる。これは『カクテル・パーティー機能』と言われる機能だ。しかし、ADHDの人はこのフィルター機能が未完成である。その為、周囲の騒音や雑音を全て脳の中に取り込んでしまい、注意が他の方に飛んでしまい人な話を集中して聞くことができない。
ADHDの患者は、幼少期からからやるべきことを何でも先延ばしする傾向がみられる。これはADHDの「先延ばし傾向」と呼ばれるもので「自分の興味や関心の向いたことを優先してしまう」「自分のやるべきことをすぐ忘れてしまう」「新しいことへの心理的抵抗や不安が強い」などが原因とされている。
その為、最低限やらないといけないことが疎かになったり、嫌いなことや苦手なことが敬遠されどんどん先延ばしにしてしまう。
大人になっても先延ばし傾向が続くため、家や職場でもやるべきことを先延ばしにし、山積みになってしまいます。
物事の優先順位がつけられず、何でも同時進行で行う為、いつまでたっても仕事が終わりません。
このため期限までに仕事ができなかったり、レポートの提出期限に間に合わないなど約束を破ってしまうのです。何度も繰り返しているうちにまわりの信頼を失い孤立してしまうケースも。
落ち着きがない
(例)
・他者の目からは落ち着きがなく見られ、じっとしていられない人と思われている。しゃべりすぎてしまう。
常に新しい刺激を求めて次々と興味や関心の対象が移り、新しい趣味やものに手をだしていませんか?職業を転々と変えたり、頻繁に付き合う相手が替わるなど友人関係や異性関係も落ち着かないケースも認められます。
衝動性
(例)
・人が話している最中に発言したり、質問が終わる前に答えてしまう。
・すぐカッとなり、怒りを抑制できない。
・自分が話すことに夢中になり話を聞かない。
・人のものを声をかけず了承を得ないまま使い始める。
・他者が行っていることに割って入ったり、取り上げてしまう。
・金銭の管理がうまく行えず、衝動買いしてしまう。
ADHDの小児患者は、物事のよしあしや後先のことなど考えず思いついたらすぐ行動に移したり、何でも口に出して言ってしまう。このような衝動性は大人になっても残る。ADHDの患者は会話の途中であっても仕事中でも、そのとき思いついた気分で発言したり、行動してしまう。
TOPをわきまえた行動をとることができない為その場に合わない、空気が読めない発言をするなどして批判を買ったり、相手を傷つけてしまうこともあります。そのため"不思議ちゃん"や"変わってるね"と言われてしまうこともしばしば。
また衝動買いやギャンブルで大損してしまう金銭の無計画な使用、異性とも雰囲気や勢いで関係を持ってしまうことが多く、浮気や不倫をしやすい。大人のADHD患者は、思いつきの行動をくり返し周囲の信頼を失いやすく誤解されやすいため、対人関係のトラブルが耐えません。
対人関係
対人関係が不器用なのは、発達障害者に共通する傾向。ADHDの患者は基本的に社会性が未熟である。
(例)
・人の気持ちをくみ取り場面や状況に応じた対応ができない
・自己中心的で他者との協調性に乏しい
・人との約束事やルールが守れない
・頭の中で考えていることをうまく表現することができない
・感謝、反省、共感などの気持ちをうまく表出できない
・人に助けを求めたり、要求を断ることができない
一般的に人と話しをする際、相手の話のみを聞くだけじゃなく相手の表情や口調、声色、間、また周囲の状況なども含めて、相手の気持ちを汲み取ろうとします。しかし発達障害の患者はそれらがうまくできません。また誤ったり、共感したり、人に好かれるように振舞ったりするのも苦手で友人や恋人とも長続きせず、いじめや仲間はずれになりやすいです。
ネガティブさ、成功体験の少なさ
発達障害は、自分自身を客観的に正しく評価することや他者を正確に認識することが苦手です。更にADHDの患者の多くはマイナス思考で、物事を否定的、悲観的、被害的にとらえる傾向が認められます。それは患者が幼少期から達成感や成功体験を積み重ねることができず、挫折感や失敗体験を多く重ね、家庭や学校、社会で低い評価を受け続けるためである。また自尊心をつかさどる部位の未発達で自尊心が低くなりやすくなっているとも考えられている。
あなたや周囲の人に当てはまる症状はありませんでしたか?
大人のADHDは長期的な経過を辿り良い予後を過ごせるように治療していきます。
少しでも思い当たる節があれば一度カウンセリングに行かれて見てはいかがでしょう。
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